2020年11月6日金曜日

服部南郭の秋の詩4

 

燕歌行

 秋の気配が日々日ごと 募ってきます 悲しいわ!!

 わびしく木々は風に鳴り 帰って来ません あの人は

 チョット登った高殿で 心の悲哀いや増して

 秋風吹けば白雲が 乾[いぬい]の方から流れ来る

 その西北の道はるか 君は久しく彷徨[さまよ]って

 天涯の地で故郷[ふるさと]を 思い出してることでしょう

 妾[わたし]は一人鬱々[うつうつ]と 転寝[うたたね]さえもできません

 君帰り来て再会が 叶うはいつのことかしら?

 いつも弾いてる琴に手が 触れても弾く気になれません

 なぜって澄んだその絃の 悲しい響きが恐いから

 この明月を夜明けまで 眠くもならず眺めれば

 遥か千里のかなたへと 雁鳴きながら飛んで行く

 銀河に降りた白露[しらつゆ]は 消えもしません一晩中

 牽牛・織女の紅涙が 妾[わたし]の衣を濡らします

 天上界には何ゆえに 悲しい別れが多いのよ?


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