2019年6月7日金曜日

芳賀徹『桃源の水脈』4


もっとも、陸游には「桃源」と題する七律もありますが、どうも桃源なる地で詠んだ感懐のようで、桃源郷のイメージはまったく感じられません。というわけで、「山西の村に遊ぶ」をまたまた僕の戯訳で……。

 農家が師走の仕込み酒 濁っていたって構やせぬ
 客へのご馳走 鶏や豚 豊年ゆえか山盛りに……
 川は入り組み山高く 行き止まりかと思ったら
 芽吹く柳と桃の花 こんな処にまた一村
 笛や太鼓が響き来る もうすぐなんだろ春祭り
 みんなの着物は質素だが 古きゆかしさ遺ってる
 今後も一人 月の夜に 訪ねて来てもいいならば
 迷惑だろうがこの杖で 門をたたかん真夜中に

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...