2019年6月6日木曜日

芳賀徹『桃源の水脈』3


陶淵明以下、中国の詩人たちがたたえた桃源郷の系譜は、芳賀さんがよく教えてくれます。そのなかで一首採り上げるとすれば、やはり陸游の七言律詩「山西の村に遊ぶ」ですね。なぜかって? 陸游は僕が愛してやまないネコ詩人だからですよ。すでに陸游のネコ詩を何首か紹介しましたし、そのすべてを知りたいために、『陸游集』まで買っちゃったこともアップしました。『李白全集』も『杜甫全集』も持っていないのに……。

『陸游集』にあたってみると、43歳のとき詠まれたというこの七律は、「剣南詩稿」の巻一に「游山西村」としてすぐ出てきます。もちろん「遊」と「游」は同音同義です。愛読する渡部英喜さんの『漢詩百人一首』(新潮選書)にも採られているくらいですから、古来有名な漢詩なのでしょう。芳賀さんが指摘するとおり、この七律には濃厚な桃花源的情趣が漂っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...