2019年2月13日水曜日

森アーツセンターギャラリー「新・北斎展」5


特に二〇一四年、パリのグラン・パレで行なわれた北斎展では、三十五万七千人もの美術ファンがその魅力に酔いしれました。これらの功績をたたえて、フランスからは芸術文化勲章オフィシエが贈られることになりました。その準備中、永田さんはフランス・ギメ美術館所蔵の「龍図」と、太田記念美術館の「雨中の虎図」が本来双幅であるという新知見をえました。北斎研究上画期的な大発見です。

「龍図」を里帰りさせ、100年ぶりに本来の双幅として展示した太田記念美術館の「ギメ美術館所蔵浮世絵名品展」は、美術界の話題を集め、たくさんの浮世絵ファンを原宿へと向かわせました。普通はスリッパに履き替える美術館ですが、このときはとても不可能で、シートを敷いて土足にしたというのは、よく知られたエピソードです。早速私は永田さんにお願いして、編輯委員をつとめる美術雑誌『國華』に、その研究成果を報告してもらいました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...