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2018年4月25日水曜日

横浜美術館「ヌード」10

 日本近代医学の父アーウィン・フォン・ベツルは、よく知られた「日本では今の科学の『成果』のみを受け取ろうとし、……この成果をもたらした精神を学ぼうとしない」という名言を吐きましたが、ちょっと参考になるかもしれません。

当時の日本人は、ヌードの西欧文化史における精神や意味などを学ぼうともしなければ、まったく関心もなかったのです。しかも悪いことに、ヌードは医学とちがって、日本人の生命や健康に直接関係する文化ではありませんでした。医学のようにぜひ必要な文化ではなく、あってもなくても構わなかったのです。もし近代化にどうしても必要であれば、西欧文化のすぐれた成果としてヌードを取り入れたことでしょう。

しかもヌードは、為政者にとって卑猥な春画と、表層的にはより一層結びつきやすかった――それは為政者が儒教の影響をとても強く受けていたからです。日本人である為政者が、ヌードの文化史的意義を理解しようとしなかったことはもとより、春画を猥褻なものと見なし取り締まりの対象としてきた為政者にとって、ヌードが同じように見えたとしても、不思議でもなんでもありません。

それはいくら西欧化が進んでも、伝統的な価値基準は一朝一夕に変らないというDNA論の補強材料となるかもしれませんが……。


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