2017年11月8日水曜日

五島美術館「光彩の巧み」1


五島美術館「光彩の巧み――瑠璃・玻璃・七宝――」(123日まで)

 出品数はジャスト100点、はじめて見る総合的な七宝展です。僕が最初に七宝というアートに興味を持ったのは、名古屋大学時代、名古屋市博物館の委員として、とてもすぐれた大コレクションに触れたときでした。しかしそれは、万国博覧会などに出品された近代七宝ばかりでした。

今回、中国・戦国時代の「金銀玻璃象嵌大壷」(永青文庫蔵)というプロトタイプに始まる名品を系統的に見て、七宝の素晴らしさに改めて深く心を動かされました。副題に「瑠璃・玻璃・七宝」とありますが、この三者の関係を含めて、簡にして要をえたカタログの「ご挨拶」を掲げることにしましょう。

 琉璃も玻璃も、極楽浄土を荘厳する宝を示す言葉です。いずれも長い時間のなかで意味内容を変えつつも、貴石やガラスを示すために使われました。これらは奥深い光をたたえて器物をかざり、そこに神秘の力を与え、持つものに権威をもたらします。

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