2017年10月11日水曜日

東京国立博物館「運慶展」1


東京国立博物館「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」(925日)

 運慶――日本が生んだもっとも偉大な彫刻家ですね。彫刻家にはまちがいありませんが、ちょっと違和感が残ります。僕的には、もっとも偉大な仏師、あるいは大工房の棟梁といった方がしっくりきますが、現代ではやはり彫刻家と呼ぶのがベストでしょうか。

 奈良仏師の系統を引く康慶の子に生まれ、平安時代末期から鎌倉前期にかけて活躍した彫刻家として、必ず教科書に出てきますから、日本人でその名を聞いたことがない人はいないでしょう。かの定朝が完成したエレガントな藤原彫刻の対極に位置する、エネルギーに満ちあふれた鎌倉新様式を生み出した彫刻家です。

つまり、定朝様式が手弱女ぶりであったとすれば、運慶様式は益荒男ぶりであったことになります。力強い立体感とみごとな写実性、高い精神性を兼ね備えたとたたえたれるのが運慶です。運慶およびその一派がいかに偉大であったか、いや、偉大でありすぎたか、岡倉天心の『日本美術史』の一節を引用しておきましょう。

此の時代(鎌倉時代)の彫刻は、其の初期に当たりて運慶の一派より巨手輩出して一時の盛をなしたれども、絵画に比ぶれば漸を以て衰頽し、見るべき作品また少なしとす。

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