2025年10月29日水曜日

7日間ブックカバーチャレンジ⑤

 

 

 現代最高の和歌研究者・久保田淳さん渾身の一書がまた世に出ました!! 「日本人をとらえる百の歌の宴」(コシマキ)です!! 文庫本とはいえ532頁――ハナから通読はあきらめて、好きな一首から拾い読みしていくのがおススメです。近世の四大注釈書を駆使した久保田さんの「解釈」に魅了されます。 

「僕の一首」は、大江千里おおえのちさとの「月見れば千々に物こそかなしけれわが身ひとつの秋にはあらねど」ですね。この一首は白楽天の「燕子楼」という詩によったと言われていましたが、賀茂真淵和歌に中国の故事を引くなど素人のやることだと批判すると今度は香川景樹が真淵を論難したというのです。 

はじめて知りましたが、日中文化交流問題の観点からも、じつに興味深く感じられました。久保田さんの指摘するとおり、「『月見れば』の歌は、さして深みのある作とは言えないかもしれない」のですが、深みのない人間である僕は大好きな一首です😅

これまた大好きな明・唐寅が詠んだ「酒を把りて月に対する歌」愉快な月――大江千里とは対照的な月が出てくるので、マイ戯訳で紹介することにしましょう。 


  李白生れる以前から もともと月は存在し 

  単に李白がそこにいて 吟じただけだ かの名詩 

  今や李白はもうすでに 仙人と化し冥界へ…… 

  蒼穹にある月だけが 何度も満ち欠け繰り返す 

  今なお李白の名吟を 暗唱している現代人 

  十五夜迎えりゃ月もまた 李白の時代とおんなじ 

  俺は李白を学びつつ 輝く明月眺めてる 

  だけども月は李白など 認知しているはずがない 

  李白は天才詩人だが また天才的酒仙なり 

  現代詩人のこの俺も 百杯飲めば千首でき…… 

  李白のような才能が チョットないのを恥じるけど 

  俺の非才をお月さん 馬鹿にしているはずがない 

  俺も絶対乗るもか 皇帝殿下の豪華船 

  俺も惰眠をむさぼらず 花の都の宮廷で 

  蘇州の田舎のちっぽけな ボロ家に住んでる俺だけど 

  囲む樹木に桃の花 空にゃ李白の名月が…… 

 

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7日間ブックカバーチャレンジ⑤

      現代最高の和歌研究者 ・久保田淳さん渾身の一書がまた世に出ました!!  「日本人をとらえる百の歌の宴」(コシマキ)です!!  文庫本とはいえ532頁――ハナから通読はあきらめて、好きな一首から拾い読みして いくのがおススメです。近世の四大注釈書を駆使した 久保田さんの...