桜と相性がよい文学は和歌でしょうが、漢詩だって負けてはいません。先に紹介した渡部英喜さんの『漢詩花ごよみ』に江戸末期に鳴った漢詩人・藤井竹外の七言絶句「芳野」が載っています。またまたマイ戯訳で紹介することにしましょう。
古き陵みささぎ――松柏まつかしわ つむじ風受け吼ほえている
春の爛漫 山寺に 尋ねりゃ桜は散ったあと
雪の眉毛の老僧が 箒ほうき持つ手を休めつつ
積もる落花に囲まれて 昔語りは吉野朝よしのしょう
本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...
0 件のコメント:
コメントを投稿