2024年10月8日火曜日

東京都美術館「田中一村展」9

葉時代の傑作に「仿蕪村四季山水図」(田中一村記念美術館蔵)があります。一村を魅了した蕪村のオリジナルも知られています。蕪村が創り出した絵画と俳句の魅力は、微妙な光の感覚――「微光感覚」にありというのが持論ですが、この一村四幅対もすばらしい微光感覚にあふれています。そう思ってこのころの一村作品を見渡すと、これ以外にも微光感覚の横溢する作品が少なくありません。

一村が持って生まれた感覚だともいえそうですが、興味深いのは昭和30年(19556月、九州→四国→紀州と巡る旅に出た一村が描いた色紙画に、微光感覚のきわめて魅力的な作品が含まれるという事実です。それが奄美時代に入って、微光感覚がライトモチーフになっているような傑作を生み出す原動力になったにちがいありません。

すでに多くの書を読んでいたにちがいない一村が、はじめて千里の道を行くことにより、もって生まれた微光感覚を自覚するようになったようにも思われます。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

富士山世界遺産センター「日本三霊山の砂防」5

さらに「逢へらくは玉の緒しけや恋ふらくは富士の高嶺に降る雪なすも」というバージョンもあるそうです。つまり「あの子と逢う間の短さは玉の緒ほどにも及ばないのに、別れて恋しいことは、富士の高嶺に降る雪のように絶え間ないよ」となりますが、これじゃ~本展示とまったく関係なき一首になってしま...