2024年10月26日土曜日

サントリー美術館「英一蝶」13

一蝶の「地蔵菩薩像」は仏画にふさわしく、金泥落款が入っています。そのため会場ではよく読めませんでしたが、カタログによると「狩林席下朝湖敬図」だそうです。この「狩林」は「禅林」と同じように「狩野が多く集まった場所」とも、「狩埜」の省略とも考えられますが、いずれにせよこの落款には、一蝶における狩野派としてのプライドが読み取れるように思います。「朝湖」は一蝶がそのころ用いていた号です。

 四捨五入をすれば60年も前()、私は辻惟雄さんと小林忠さんに誘われて、島一蝶を調査する機合に恵まれました。その結果は『國華』920號に報告されている通りで、仏画あるいは民開信仰的な画題がほとんどすべてを占めています。島民から求められるのはこのような絵画であつたにちがいありません。江戸市民向けに「日待図巻」のような風俗画が制作されましたが、三宅島における一蝶は仏絵師であったといってもよいでしょう。 

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富士山世界遺産センター「日本三霊山の砂防」5

さらに「逢へらくは玉の緒しけや恋ふらくは富士の高嶺に降る雪なすも」というバージョンもあるそうです。つまり「あの子と逢う間の短さは玉の緒ほどにも及ばないのに、別れて恋しいことは、富士の高嶺に降る雪のように絶え間ないよ」となりますが、これじゃ~本展示とまったく関係なき一首になってしま...