2024年6月18日火曜日

太田記念美術館「国芳の団扇絵」3

 

今日は618日です。ジャスト75年前、昭和24年(1949)の今日、大好きな永井荷風は『断腸亭日乗』に次のごとく書き残しています。

晴。夕刻いつもの如く大都劇場に至る。終演後高杉由美子らと福嶋喫茶店に小憩し地下鉄入口にて別れ独ひとり電車を待つ時三日前の夜祝儀を若干与へたる街娼に逢ふ。その経歴をきかむと思ひ吾妻橋上につれ行き暗き川面を眺めつつ問答すること暫くなり。今宵も参百円ほど与へしに何もしないのにそんなに貰つちやわるいわよと辞退するを無理に強ひて受取らせ今度早い時ゆつくり遊ばうと言ひて別れぬ。年は廿一、二なるべし。その悪ずれせざる様子の可憐なることそぞろに惻隠そくいんの情を催さしむ。不幸なる女の身上を探聞し小説の種にして稿料を貪むさぼらむとするわが心底こそ売春の行為よりかえつて浅間あさましき限りと言うべきなれ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

追悼シンポジウム「高階秀爾館長と大原美術館」6

   しかし三浦さんの名司会のもと、 我々は 高階先生の多面的な超人振り に 改めて 感を深くする とともに、 聴講者の心にも深い感銘を与えたように感じられました。終了後、近くのつね家さんに席を移して先生に杯を献じましたが、やはりシンポジウム中は緊張していたせいでしょうか、 つね...