2023年7月28日金曜日

『荻生徂徠全詩』第2巻16

 

尾藤正英先生によると、荻生徂徠を我が国における近代思想の出発点に位置づけたのは、かの丸山真男先生だそうです。かつてこれを読んだとき僕は、近代的思想の萌芽が認められるから徂徠はすごい!!というのは、近代至上主義に過ぎない、『政談』にはパクス・トクガワーナにおける本質的価値があるんだと反発を覚えたものでした。

しかし今回『講談社まんが学術文庫 政談』を読んで、やはり丸山先生の読みは正しかったんだと考え直しました。尾藤先生によると、「丸山氏の徂徠論は、非合理主義とか権威主義といった、通念では近代思想の特性に反すると考えられるものが、実際には近代思想の生成期に際して重要な役割を果たしたとみる、いわばパラドシカルな歴史の構図を描いて、その中に徂徠の思想を位置づけている」そうです。


0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」5

   桜と相性がよい文学は和歌でしょうが、漢詩だって負けてはいません。先に紹介した渡部英喜さんの『漢詩花ごよみ』に江戸末期に鳴った漢詩人・藤井竹外の七言絶句「芳野」が載っています。またまたマイ戯訳で紹介することにしましょう。   古き陵 みささぎ ――松柏 まつかしわ  つむ...