2023年4月22日土曜日

板橋区立美術館「椿椿山展」16

 

というわけで、江山漁楽という画題は脇に置いておくことにして、両者を見比べてみると、椿山が師の崋山から大きなインスピレーションを得た可能性も考えられるように思います。椿山の師崋山に対する尊敬の念を考えれば、当然のことですが……。それはともかく、さすが崋山先生、椿山のように他人の詩をパクッタリするようなことは致しません。しかもこの9797言という詩は、崋山における制作過程の一端を教えてくれる点で、とてもおもしろいと思います。またまたマイ戯訳で……。

天保三年 春の日に 「江山漁楽図」描いたが

  満足できずそのあとは 葛籠つづらにしまっておきました

  是非……と欲しがる人があり そこから出して彩色を

  加えたけれど拙劣な ブラッシュワークは隠せません

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』2

 本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...