2022年5月22日日曜日

蕪村唐寅試論14

 

『今古奇観』というのは明末の短編小説集、抱甕ほうよう老人という人が編集したもので、わが国の江戸文学にも大きな影響を与えたそうです。唐寅の話は「唐解元 世を玩あざむいて奇を出だすこと」という第33話で、荒唐無稽にしてホンマカイナァと思わせる内容ですが、火のないところに煙は立たずというヤツでしょう。

大きな質屋というのは、お金持ちの華学士が営むところ、小間使いというのは、奥方が着る四季折々の着物を世話するお側仕えで、秋香という美人でした。唐寅ラブストーリーとでもいったらよいのでしょうか、芸妓・小糸と老いらくの恋に落ちた蕪村は、この話を知っていたにちがいありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿

千葉市美術館「田中一村展」4

  速水御舟がかの「名樹散椿 めいじゅちりつばき 」(山種美術館蔵)を発表したのは、一村の「椿図屏風」に先立つこと 2 年、昭和 4 年( 1929 )秋の第 16 回院展でした。一村が「名樹散椿」を見て、インスピレーションを得たことは疑いないでしょう。しかし、ほとんど越えること...