2022年4月15日金曜日

佐藤康宏『若冲の世紀』8

 かつて桓伊かんいが椅子に掛け 笛吹くシーンを描いたが

 その笛の音に誘われて ヒラヒラと散る梅の花

 頭巾ずらしてその調べ じっと聴き入る王子猷おうしゆう

 かの戴安道たいあんどうを訪ねしは 人品 高きこの人だ

 漁師と木こりが仕事する 風景の絵も描いたが

 幽玄 瀟洒な趣が 俗世をはるかに超越す

 鮮魚を鱠なますにする子ども 振るう包丁キラキラと……

 老いた木こりが斧を研ぐ 砥石の肌はツヤツヤと……

 はじめて知った 筆先が 自然の妙を奪うこと

 はじめて知った 絵のなかに 霊なる神気 宿ること

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「トプカプ・出光競演展」2

  一方、出光美術館も中国・明時代を中心に、皇帝・宮廷用に焼かれた官窯作品や江戸時代に海外へ輸出された陶磁器を有しており、中にはトプカプ宮殿博物館の作品の類品も知られています。  日本とトルコ共和国が外交関係を樹立して 100 周年を迎えた本年、両国の友好を記念し、トプカプ宮...