2022年1月19日水曜日

根津美術館「鈴木其一・夏秋渓流図屛風」14


 とくに「保津川図屏風」では廬山の滝ですね。右隻の右奥の方に滝が描かれ、その滝水が迫央構図にしたがって流れ出ています。滝はチョット姿を見せるだけで、瀑布図というより渓流図になっていますが、その滝こそ重要なポイントだと思います。そこで思い出されるのは、李白の有名な七言絶句「廬山の瀑布を望む」ですね。またまた戯訳で……。

  太陽照らす香炉峰 たなびく霞は紫だ

  はるか向こうに川が見え 滝が一筋かかってる

  ほとばしる水 垂直に 落下すること1000メーター

  天のテッペンから落ちる 天の川かと間違えた

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京都美術館「田中一村展」10

  代表作の「アダンの海辺」と「不喰芋と蘇鉄」(ともに個人蔵)は、一見眼に美しい華麗なる装飾絵画、あるいは染物や織物のような応用美術にも見えますが、それらから画然と区別し、一村その人の表現に昇華させているのは、微光感覚にほかなりません。アダンの背後、不喰芋の彼方、蘇鉄のしりえに広...