2021年11月28日日曜日

鹿島美術財団東京美術講演会11

岩波文庫版『雲萍雑志』の表紙にはチャンと「柳沢淇園著」となっているのに、偽書とか仮託だなんて羊頭狗肉じゃないか――などといったら、森先生に対して失礼かな()

それはともかく、僕は「影法師問答の文」に関する岡戸さんのお話を、荘子胡蝶の夢や、江戸川柳「荘子のは夢が花野をかけ廻り」を思い浮かべながら聞いていました。あるいは老荘に惹かれていた李白の「月下の独酌」を反芻しながら、耳を傾けていました。

つまり「影法師問答の文」には、老荘的観念が強く働いているように思われたのです。『雲萍雑志』の本来の著者は、老荘思想や道教趣味の持ち主であったかもしれません。そこで「月下の独酌」を、またまたマイ戯訳で……。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...