2021年8月9日月曜日

サントリー美術館「ざわつく日本美術」3

 

しかし、キューレーターっておもしろそうだなぁ、自分もやってみたいなぁなんて思う若い方がいらっしゃったら、一言ご忠告申し上げることにしましょう。

 「キューレーターって実際は大変ですよ。その大変さが楽しいと思える、チョット変な人しかキューレーターにはなれませんよ」

 「僕の一点」は、西川祐信筆「美人図」(№92)ですね。胸をあらわにしたセミヌードの女性が、紅い湯文字(腰巻)の紐を結ぼうとしています。女性の後ろには衝立があって、中国・東晋の天才田園詩人・陶淵明が描かれています。その格好からみても、従う童子が袋に入った琴――あの音に聞こえたというのも変ですが、有名な無絃琴を担いでいることから考えても、陶淵明にちがいありません。


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根津美術館「唐絵」6

また島田先生は、「題辞、題詩が単に画図をみた印象、感想を述べるだけでなく、画図の主題と密接な関連があって、 画図の十分な理解のためにはその詩文の解釈が欠かせないとか、題跋の加わることが予期されるというような条件をおくことが必要であろう」と指摘しています。 さらに島田先生は、詩画軸...