2021年7月23日金曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」24

 


実際に展示されているのは、そのあとの見開き2ページで、「嶽を望む」という五言古詩を読むことができます。これもさすが杜甫だと思わせる一首です。これは泰山をたたえた一首です。泰山は山東省にそびえる名山、五岳の長とされ、東に位置するので東岳ともいわれます。

1989年、北京日本学研究センター講師をつとめていたとき、ひとり夜行列車で、しかも硬座――つまり2等車で北京から江南に遊びに行ったことがあります。そのころ、北京から上海まで、汽車ではちょうど1日、24時間かかりました。21:10に北京駅を出発した汽車が、翌日の朝6時前、泰安駅に到着すると多くの乗客がぞろぞろと降りていきました。隣の人に訊くと、朝日を拝むためとのこと、泰山は朝日遥拝の名所でもあるそうです。そのときは僕もいつか登ってみようと思いましたが……。

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