2021年7月14日水曜日

三菱一号館美術館「三菱の至宝展」15

 

それはあたかもツルとカメが目と目を見交わしているかのようです。蓬莱山の象徴であるツルとカメを、其一は蓬莱山自体で作り上げ、そっとしのばせたのです。これが意識的であったことは、作品自体が語っているように思います。

因習に馴染むことを厭い、幕末の奔放な美意識やソフィストケイトされた造形感覚に生き生きと共鳴した其一が、伝統的な蓬莱山図を、そのまま繰り返して描くなどという安易な方法を選ぶはずがありません。

単なる岩に見えていたものが、ある瞬間そのシンボルである動物に変換するというフォルムの詭計に、当時の江戸っ子も手を打って喜んだにちがいありません。

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