2021年4月25日日曜日

府中市美術館「与謝蕪村」4

 

 金子さんは蕪村の「ぎこちなさ」を俳画にも認めるのですが、とくにその朴訥な文字を「ぎこちないフォント」と呼んでいるのが愉快です。そして「蕪村の俳画は、美術史の上で、もっと注目されてよいのではないだろうか」という提言を行なっていますが、「異議なし!!」と叫びたい気持ちになります。本家の中国文人画には絶対にない、日本文人画だけの個性は、俳画にこそ見いだせるというのが私見なんです!!

  ヤジ「当り前じゃないか、中国には俳句がないんだから!! 何をエラッソウに!!

 というわけで、「僕の一点」は俳画調の「田楽茶屋図屏風」ですね。宮津のある個人が所蔵する逸品です。おそらく葵祭でしょう、それを楽しむ人々の様子を軽妙に描いて、蕪村俳画の原点を示す作品となっています。この絵を見る楽しさは、金子さんがカタログにこれまた軽妙な文章でつづるところです。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

サントリー美術館「絵金」10

ちなみに僕は、「芝居絵」より吉田映二 てるじ 先生が好んで使った「歌舞伎絵」の方が好きなのですが、絵金の場合は古くから「芝居絵」と呼ばれてきたようですから、基本的にそれを尊重することにしましょう。 歌舞伎絵の極限に到達したのが絵金であり、絵金の芝居絵屏風だったと思います。しかしそ...