2020年8月18日火曜日

安井裕雄『モネ睡蓮の世界』4


モネは団扇のコレクターとして有名であったし、すでに指摘したようにジヴェルニーの屋敷を購入したとき食堂の壁は浮世絵で飾り、睡蓮の池に日本風の太鼓橋まで架けてしまった。
アムステルダムの国立ゴッホ美術館には、ゴッホと弟のテオがパリで蒐集した474枚もの浮世絵が所蔵されているという。異国趣味が強いといわれるティソになると、住んでいたブイヨン城の庭に鳥居をしつらえたとさえ伝えられている。
これらの事実は、彼らが第一の意味でも異国趣味者であったことを、如実に物語っている。もし、ただ日本美術や浮世絵の本質を理解するためであったら、植木鉢覆いや太鼓橋や鳥居や500枚に近い浮世絵が、どうして必要なのだろうか。

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