2020年7月19日日曜日

三菱一号館美術館「画家が見たこども展」3



 これをアメリカと比較し、文化人類学的に考察したのはルース・ベネディクトで、著書『菊と刀』のなかで、次のように述べています。

日本の生活曲線は、アメリカの生活曲線のちょうど逆になっている。それは大きな底の浅いU字型曲線であって、赤ん坊と老人とに最大の自由と我儘とが許されている。幼児期を過ぎるとともに徐々に拘束が増してゆき、……六十歳を過ぎると、人は幼児とほとんど同じように、恥や外聞に煩わされないようになる。アメリカではわれわれはこの曲線を、あべこべにしている。幼児には厳しいしつけが加えられるが、……いよいよ自活するに足る仕事を得、世帯をもって、立派に自力で生活を営む年ごろに達すると、ほとんど全く他人の掣肘を受けないようになる。……年をとってもうろくしたり、元気が衰えたり、他人の厄介者になったりするとともに、再び拘束が姿を現わし始める。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京都美術館「田中一村展」10

  代表作の「アダンの海辺」と「不喰芋と蘇鉄」(ともに個人蔵)は、一見眼に美しい華麗なる装飾絵画、あるいは染物や織物のような応用美術にも見えますが、それらから画然と区別し、一村その人の表現に昇華させているのは、微光感覚にほかなりません。アダンの背後、不喰芋の彼方、蘇鉄のしりえに広...