2020年2月23日日曜日

市岡猛彦3


 
妻睦子、子の和雄、またともに歌をよくした。『讃酒百首』は猛彦の歿後に和雄が校訂して上木した。その序文の中で、父にうけついだのは酒飲む業ばかりだったといっているところを見ると、和雄もまた酒徒であったらしい。

 『連城亭随筆』の記するところに依れば、猛彦少時神に祈り、人生古から五十年という、寿はわが願うところではない、どうか一代の歌人とうたわれるようになりたいといった。後歌人として猛彦の名は世上に鳴った。そして文政十年彼が五十歳に達した時病を発し、二月二十一日というに歿した。

 いつ頃の詠であろうか、その編著『春風集』の中に、彼の稲妻の歌がある。

  露はなほおくれさきだつほどもあらんはかなきものは稲妻のかげ

と。心を惹かれる歌である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 11

    モラエスは 今 NHK 連続テレビ小説――通称 朝ドラ の 「ばけばけ」 で モデルになっている 小泉八雲( ラフカディオ・ハーン ) と 同世代の日本研究者で、 ほとんど同じころ来日、 遺した仕事も共通する 要素 が 少なくありません 。   しかし東京大学や早稲田大学...