2019年10月29日火曜日

石水博物館「川喜田半泥子の秋」7


もちろん僕も拝読していましたから、はじめてお会いしたのに、もうずっと前から存じ上げているような不思議な気分でした。桐田さんからコピーしてもらった千早耿一郎著『おれはろくろのまわるまま――評伝・川喜田半泥子』の一節を、引用しておきましょう。

国学者で茶道の著書もいくつか書いている松山吟松庵(18701942)を、はじめて千葉県房州の保田吉浜に半泥子が訪ねたのは、1937年(昭和12)のこと。その吟松庵が二年後の1939年に病床にいたとき、半泥子は見舞いの手紙を送り、自作の茶碗を贈ることを約した。その手紙を見て、吟松庵は「茶盌早く見たし」と言ってきた。そこで半泥子は、その茶碗に「磯鰈」[いそがれい]の銘をつけて送った。むろん「急がれ」の洒落である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...