2019年9月3日火曜日

諸橋轍次博士5



本書を一読、先生のあまりにも真摯なる学問への情熱、いかなる苦難をものともしない強烈な意志、「行くに徑[こみち]に由らず」という堂々たる男子の生き方に、感動を覚えないものはいないでしょう。及ぶべくもありませんが、研究者として、少しでも先生に近づきたいなぁと思わずにはいられません。

しかし、人間にはいろいろな生き方があり、さまざまな人生がある、だからこそこの社会はおもしろいのだと信じている僕は、みんな先生のように生きるべきだ、先生を見習ってみずからの欠点を矯正すべきだと、声高に主張しようとは思わないのですが……。

僕がその生き方に憧れる江戸時代の本草学者・貝原益軒も、「聖人を以ってわが身を正すべし、聖人を以って人を正すべからず。凡人を以って人を許すべし。凡人を以ってわが身を許すべからず」といっています。

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