2018年3月19日月曜日

神奈川県立近代美術館・葉山「堀文子展」5


『諸橋大漢和辞典』に「閨秀」を求めると、「賢婦人。才学のすぐれた婦人」とあります。「閨秀画家」は、すぐれた婦人の画家ということになります。出典には『世説新語』など、たくさんあがっています。

ところが「閨」だけをみると、もともとは独立した小門という意味のようですが、第三義に『後漢書』を引いて「ねや。婦人の居間」とあり、第四義に『王琚 美女篇』を引いて「男女のみそかごと」とあります。ちょっとエロティックなイメージもつきまとう漢字ということになります。

龔穎さんが異を唱えたのは、そのためだったのでしょう。あるいは、何となく男性の上から目線を感じ取ったのでしょうか。日本の学生が何も言わなかったのは、目立つことを嫌う国民性のせいなんかじゃなく、単に「閨」の派生的意味を知らなかったためかもしれません。そうなると日中文化比較はナンセンスということになりますが……。

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根津美術館「唐絵」6

また島田先生は、「題辞、題詩が単に画図をみた印象、感想を述べるだけでなく、画図の主題と密接な関連があって、 画図の十分な理解のためにはその詩文の解釈が欠かせないとか、題跋の加わることが予期されるというような条件をおくことが必要であろう」と指摘しています。 さらに島田先生は、詩画軸...