先に仙厓の「○△□」を挙げましたが、これについてもちょっとおしゃべりすることにしたいと思います。これは出光美術館がたくさん所蔵する仙厓義梵の作品のなかでも、一番よく知られた傑作でしょう。しかしこれが何を象徴しているかについては、さまざまな意見があります。畏友・泉武夫さんは、学研版『日本美術全集』23<江戸の宗教美術>にこれを登載し、すでに唱えられている4つの説を紹介しています。
①宇宙の根源的形態としての最も単純な三つの図形。②地水火風空識の六代思想を、地(□)、水(○)、火(△)のみで象徴したもの。③天台、真言、禅の三宗をあらわしたもの。④儒仏道の三教一致を示したもの。
これらに加えて泉さんは、神儒仏合一をあらわしたものではないかと考えています。三島の龍沢寺には、白隠の高弟である東嶺の筆になる「神儒仏三法合図」があって、△が○に、□が○に包摂されるような曼荼羅風図形が見出されるからです。
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