まさにその通り!! 6500点の美術品コレクションを誇るわが静嘉堂文庫美術館に対するエールのようにも聞こえて、とてもうれしくなりました。
「僕の一点」は、テオフィル・アレクサンドル・スタンランの多色刷りリトグラフ「ボディニエール画廊にて」です。スタンランはスイスに生まれたフランスの風俗画家にして版画家です。19歳のときパリに出て、キャバレー「シャ・ノワール」――つまり「黒猫」に入り浸りながら、いろいろな新聞のために風刺画を描きました。
20世紀に入ってから、ジャン=ルイ・フォランらとともに風刺新聞「ユモリスト」を創刊したことでも、フランス近代絵画史に名を残しているそうです。
「ボディニエール画廊にて」は、そこに飼われていたと思われる2匹のネコをモチーフにしています。1匹はキャバレーの名と同じ黒ネコ、1匹は三毛ネコです。背景を描かずにネコを右側に寄せ、左3分の1ほどを余白に残した構図がとても洒落ています。スタンランは真のネコ好きだったことがよく分かります。好きでもないのにただネコをモチーフに選んだような絵なんか、僕にはすぐバレてしまいますよ。
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