その時姫と障子に映る長門は、明らかに鏡像ミラーイメージ関係に結ばれています。そして画面左奥には、3人の人物が描かれています。先の引用には何も言及されていませんが、展覧会カタログの解説が明らかにしてくれます。男は時姫の奪還を命じられたけれども、逆に時姫に斬りつけられて井戸に逃れた百姓・藤三郎、じつは佐々木高綱が井戸から出てくるところです。二人の女性は、時姫を連れ戻そうとしてやってきた阿波の局つぼねと讃岐の局だそうです。
井戸から出ようとする高綱と、右側の局も鏡像関係にあることが分かります。左手で時姫の右手をつかむ三浦之介と、右手に強盗提灯がんどうぢようちんをもつ局も鏡像関係になっています。二人ともこちらを向いていますが、三浦之介を180°回転させれば鏡像になるからです。
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