2025年8月3日日曜日

根津美術館「唐絵」3

 

それは①中国で制作され日本へ舶載された絵画、②中国の風景や風物を描いた絵画、③中国画の画風をもって描かれた絵画の3つです。もちろん②と③の場合、日本で制作された絵画ということになります。

つまり①は中国画という制作地域を表わし、②は主題テーマを示し、③は様式スタイルを象徴しているということになります。言うまでもなく①が本来の意味でしょうが、それから発展して②や③が成立、日本の絵なのにそれを唐の絵と呼んだのです。日本美術と中国美術の密接な関係を考える際、とても興味深い現象ではないでしょうか。

伊藤紫織さんが『江戸時代の唐絵 南蘋派、南画から南北合派へ』(春風社 2023年)という興味深い一書を著わすことができたのも、このような「唐絵」多義性があったからにほかなりません。いや、多義性ではなく鵺性ぬえせいというべきかな( ´艸`)


0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...