しかし独創とはいっても、何かヒントになったオリジンがあるのではないか――と美術史研究者は考えるものなんです。探究心が旺盛というか、猜疑心が強いというか、はたまた職業病というか……(笑)
カタログには、西陣織のための織物図案という説があげられています。そのほかにはペルシア絨毯や、槿域の剪紙工芸に先蹤を求める説が提示されてきました。とくにペルシア絨毯説は、普通なら屏風の表装にあたる縁へりの模様と、ペルシア絨毯の縁取り模様との近似に注目しています。
この屏風では縁が石灯籠の連続模様みたいに見えますが、じつはこれも升目描きになっているんです。鳥獣花木が何となく異国風に見える点を含めて、僕はペルシア絨毯説に一票を投じたいと思っています。
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