「賀奈川沖本杢の図」や「おしおくりはとうつうせんのづ」などの文化年間の初期から中期にかけて発表されたと推定される洋風風景版画群には、高まる波涛やせり上がる崖、伸び行く松や樹林などに立ち上がる躍動的なムーブメントがあらわされており、上方へ伸びゆく「伸暢感覚」が北斎の構成感覚の根底に根付いているとする見方がある。
確かに、「芥子」などの花鳥画や「百物語」といった妖怪絵など、風景を描いた名所絵ではないジャンルにもその「伸暢感覚」が垣間見えており、「伸暢感覚」が北斎の感覚の根底にあったという主張もうなずける。
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