2024年8月14日水曜日

すみだ北斎美術館「北斎グレートウェーブ・インパクト」5

 


「賀奈川沖本杢の図」や「おしおくりはとうつうせんのづ」などの文化年間の初期から中期にかけて発表されたと推定される洋風風景版画群には、高まる波涛やせり上がる崖、伸び行く松や樹林などに立ち上がる躍動的なムーブメントがあらわされており、上方へ伸びゆく「伸暢感覚」が北斎の構成感覚の根底に根付いているとする見方がある。

確かに、「芥子」などの花鳥画や「百物語」といった妖怪絵など、風景を描いた名所絵ではないジャンルにもその「伸暢感覚」が垣間見えており、「伸暢感覚」が北斎の感覚の根底にあったという主張もうなずける。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...