そのなかで奥田さんは、北斎の「伸暢感覚」という僕の持論に賛意を示してくれています。30年ほどまえ、至文堂版「日本の美術」の1冊として、小林忠さんから『北斎と葛飾派』を依頼されたとき、北斎にはモチーフを上へ上へと引き伸ばしていこうとする、もって生まれた独自の形態感覚があったという妄想と暴走を書いたんです。
これを「伸暢感覚」と名づけたのですが、グレートウェーブをはじめ、北斎風景版画の独特なフォルムに関する諸問題が、これを補助線に使えばたちどころに解決しちゃうんです。奥田さんはさらに僕の思いつかなかった花鳥画や妖怪絵まで、つまり風景版画以外にも発展させて、次のように指摘しています。
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