2024年4月22日月曜日

渡辺浩『日本思想史と現在』9

 

本書を読んで「思想史はこんなに面白い!」と感じたら、渡辺浩さんのデビュー研究書『近世日本社会と宋学』(東京大学出版会 1960年)に挑戦してみたらいかがでしょうか。これがあって初めて、『日本思想史と現在』のような本が書けるんだと腑に落ちることでしょう。

僕にとっては、それまでの単純な朱子学の日本展開論を根底から突き崩してくれた一書でした。それとともに、渡辺さんの朱子学展開論と我が文人画の私的理解との間に、パラレルな関係が成立するように思われて、とてもうれしくなったことを思い出します。


0 件のコメント:

コメントを投稿

世田谷美術館「民藝」5

   柳宗悦にとって民藝はレーゾンデートルであり、柳哲学完成のための秘薬であり、存在最後の砦でした。柳はかの文芸雑誌『白樺』の同人――創刊から廃刊に至るまでずっと同人でした。柳の本格的文筆活動は、『白樺』に始まったといっても過言ではないでしょう。 水尾先生によれば、武者小路実...