2022年10月14日金曜日

出光美術館「仙厓のすべて」3

 

それにも関わらず、仙厓が「戯筆」と款記している点は、とてもおもしろいと思います。仙厓にとって、このような写生的描写は「戯筆」であり、例えばカタログの表紙になっている「指月布袋画賛」こそ「正筆」だったのでしょう。

その自賛を最後にマイ戯訳で紹介することにしますが、「仙厓のすべて」展には一巻の「書画巻(草稿)」が出品されています。文政年間から天保年間にわたる手控えで、そのなかに「芥屋大門けやのおおと画賛」の賛だけが書かれています。一、二字異なっていますが、その地で詠んだにちがいありません。おそらく別にスケッチがあって、仙厓はそれを座右に置きながら、「芥屋大門画賛」を完成させたのでしょう。


0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...