つまり入れ墨のデザインになるかならないかという違いは、近代的な国家意識があるかないかの違いと表裏一体をなしているんです。
「大日本名将鑑」の最初の1枚は「天照大神」です。天照大神が神々しく岩戸から出現するさまではなく、暗い洞窟から外を覗き見るような珍しい視点で描かれています。しかもこれは明治15年、芳年が最後に加えた1枚なんです。
先にあげた菅原真弓さんの『月岡芳年伝』に、<「大日本名将鑑」作品一覧>というリストがついています。それをみると、みんな明治11年から13年のあいだに刊行されていて、「天照大神」だけが明治15年に出ているんです。
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