2020年12月17日木曜日

アーティゾン美術館『琳派と印象派』2


  小林さんの指摘するとおりなんです。日本美術を心から愛し、ジャポニスムを牽引したジャポニザンたちは、琳派にも強い興味を示していました。

パリの美術商であったサミュエル・ビングは、1888年から3年間にわたり、ジャポニスム専門誌ともいうべき『芸術の日本』(『ル・ジャポン・アルティスティック』)を発行しました。その23号に、これまた熱烈なジャポニザンであった美術批評家ルイ・ゴンスが、「光琳」と題して尾形光琳へ真率なるオマージュを捧げています。

光琳は、装飾の本能・天才をこの上なく豊かに宿していうる第一級の名匠たちに列せられる。その手法はつねに同一かつ完全で、つねにおのれみずからを倣いつづける。これ以上に独創的で、これ以上に深く、またこう言ってよければこれ以上著しく日本的な手法はない。……彼は、形態の綜合と意匠の単純化という日本美学の二大根本原理を、ぎりぎりにいきつけるところまで押し進めた画家でもあった。(稲賀繁美・訳)

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