2019年7月2日火曜日

静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史」4


それだけではありません。膨大な情報量を、比較的簡単に蓄積することができます。ヒトはやがて死んでしまいますし、モノをたくさん蓄積するためには、巨大な建物が不可欠でしょう。書物は、それに比べればずっと小さい空間に、うまくすれば1000年以上にわたって蓄えておき、必要な時に取り出して読むことができます。その間に、複製を作ることも簡単なことです。

 もちろんコスパがいいといっても、古くから書物は高価でした。例えば、平賀源内はヨンストンの『動物図譜』を購うために、家屋敷私財のすべてを売らなければならなかったと伝えられています。しかし、西洋に留学してヒトに就き、モノを調べてあれだけの知識をみずから獲得することに比べれば、ずっと安上がりであったことはいうまでもないでしょう。そもそも当時は留学などできなかったのですが……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...