2019年6月22日土曜日

金子啓明『古代一木彫像の謎』2


僕も日本仏教彫刻を考える際、「木」というものを無視できないと考えてきました。たとえば仏像のシンプルなフォルムは、直線を基本とする樹木という素材を抜きにして語ることはできない!!などと、主張してきました。金子さんたちは、さらに樹種にまで立ち入って、この問題を考えようとしたのです。一木彫像のみならず、日本仏教彫刻を論じるとき、必ず参照されなければならない本であるといってよいでしょう。

この問題に関連して、僕が興味深く感じるのは、なぜ飛鳥時代の仏教彫刻にクスノキが用いられたかという点です。この本でも明らかにされているように、7世紀、木彫像の主流はクスノキという広葉樹でした。これらのもとになったインドや中国、朝鮮の木彫像はほとんど残っていないので、それらの用材はよく分かりません。

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