山崎館長がそう言って下さったのは、いくつかニューアイディアを盛り込んだせいかもしれません。その一つは山種美術館が誇る酒井抱一の優品に加えられた賛の解釈ですが、もちろんいつもの戯訳です。本来12図のシリーズだったと思われますが、そのうちの「菊小禽図」「飛雪白鷺図」が、山種美術館のコレクションになっているのです。
賛者は有名な亀田鵬斎の子供で、抱一とも仲がよかった漢学者・亀田綾瀬です。むずかしい漢詩なので、かなり私意を加えましたが……。
菊の一叢[ひとむら]華麗なり 秋の光の消えるまで
西風なまめき世間体 よくするために愛でる人
だが陶淵明が現れて その気高さを悟らせた
冷たい霧雨秋の雨 間もなく重陽節が来る (「菊小禽図」)
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