2019年5月8日水曜日

静嘉堂文庫美術館「備前刀展」2


今回、飾り付けが終ったギャラリーを回って、エネルギーに満ちて力強く、しかもエレガントな備前刀に、日本刀の神髄を直感したことでした。僕的にいえば、備前刀には益荒男ぶりの刀姿のなかに、手弱女ぶりが包摂されているのです。鎌倉武士や戦国武将をはじめ、多くの人々の所有欲を掻きたてたのは、そのような美の内在にあったのだと思います。

静嘉堂文庫美術館は120振りほどの日本刀を所有していますが、備前刀が3分の1を占めるため、「備前刀の宝庫」という賛辞をもって呼ばれています。今回は、この備前刀のなかから、重要文化財4振り、重要美術品11振りを含む在銘作30振りほどを選び抜きました。「古備前」とたたえられる初期の刀工から、一文字、長船、畠田、吉井、鵜飼など各流派による作風の展開が容易にたどれるよう、分かりやすく展示されていますよ。

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