2019年3月20日水曜日

國華特輯号「屏風絵新考」5


またジェームズ・ホイッスラーは「紫と金の協奏曲№2」に、アルフレッド・ステヴァンスは「別れの手紙」に、欠くべからざるモチーフとして、日本の屏風を登場させたのだった。それだけではない。ピエール・ボナールは、「兎のいる風景」という油彩画の屏風を創り出してしまった。三曲一双という我が国ではあり得ない形式なのが愉快だが、これらは屏風が日本美術独自の画面形式として認識された事実を物語っている。

我が『國華』も、創刊翌年の明治二十三年(一八九〇)、第六号に周文筆「瀟湘八景八景図屏風」と啓書記筆「竹林七賢図屏風」(共に松平茂昭侯爵蔵)をコロタイプで紹介して以来、数多くの出来映えすぐれる屏風を『國華』アーカイブに加えてきた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

鎌倉国宝館「扇影衣香」9

  先日、 鏑木清方記念美術館の「あの人に会える! 清方の代表作<築地明石町>三部作」展で井手誠之輔 さん にお会いしたことをアップしました。その井手さんが、この「扇影衣香」展カタログに、「総論 絵から見た鎌倉の美術と東アジア世界――人と仏――」という巻頭論文を寄稿しています。 ...