2018年7月23日月曜日

三菱一号館美術館「ショーメ展」4


しかし、一般的に西欧絵画には見ることができない、ほとんどすべてが正面向きという花の絵が、我が国に多いことは、やはり注目してよいように思います。おそらくこれは、矢代幸雄先生のおっしゃる日本美術の装飾性や、辻惟雄さんの指摘するKAZARI的傾向を示すものでしょう。

このような日本絵画における花の表現が、さらにいえば花を見る視覚が、西欧の純粋絵画よりも、ショーメの工芸下絵に近似しているというのは、何と興味深いことでしょうか。逆にいえば、ショーメの植物デッサンは久蔵や光琳や若冲と似通っているということになります。

日本絵画の工芸的性格については、すでに常識に属するところですが、これをよく実証するものとして、僕は出来上がったショーメ宝飾品よりも、その植物デッサンの方に、より一層強い興味を抱いたのでした。



0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」7

今回は奥村土牛の傑作「醍醐」がポスターのメインイメージに選ばれ、目玉にもなっているので、とくに土牛芸術に力を入れてしゃべりました。もちろん大好きな画家でもあるからです。 遅咲きの画家といわれる土牛は、一歩一歩着実に独自の土牛様式を創り上げていきました。人の真似できない真なる創造的...