北斎の代表作である「富嶽三十六景」は、富士山という不老不死と結びつく蓬莱山のもとで繰り広げられる理想的人間生活にささげられた、北斎の真率なるオマージュです。それは拙著『北斎と葛飾派』(日本の美術367)に指摘したとおりです。僕として結構頑張って書いたムックですが、アマゾンで検索してみると人気がないらしく、わすか400円で出ています。同じシリーズのためにまとめた『谷文晁』は、3000円もしているのに(笑)
幕末明治の日本が、ネコにとって天国であったことは、すでに紹介した渡辺京二さんの名著『逝きし世の面影』に、指摘されるとおりです。天国といっても、単にネコが可愛がられていたという意味じゃありません。渡辺さんは次のようにいっています。
その滅び去った文明(日本の近世江戸文明)は、犬猫や鳥類をペットとして飼育する文明だったのではない。彼らはペットではなく、人間と苦楽をともにする仲間であり生をともにする同類だった。
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