出光美術館「書の流儀Ⅱ 美の継承と創意」(12月17日まで)
僕は尚美学園大学でも、京都美術工芸大学でも、学生に辻惟雄編『カラー版 日本美術史』の巻頭を飾る辻さんの序文を、「原稿用紙に丁寧に筆写せよ」という課題を出してきました。今どきの学生はワープロを使い、あるいはメールやラインに頼って、みずから文字を書かないのはケシカランことだと思っていたからです。文字というものがこんなに軽く扱われては、日本文化全体がやせ細って行ってしまうと危惧していたからです。
しかしこの特別展を企画した笠嶋忠幸さんは、これを別の観点から考えているようです。それがとてもおもしろいので、カタログ論文「公私の境にみる書風の変容」から「多様化した『書』の価値観」の一節を引用することにしましょう。
さまざまな形態のIT機器が日常に普及したことで、若者を中心として「文字を書くこと」自体が、古く面倒なものと認識されるようになってしまった。しかし「書く」行為そのものが消えてなくなった訳ではない。
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