2017年5月14日日曜日

三井記念美術館「西大寺展」15


 ところで、僕も多くを学んだ正木晃さんの『マンダラとは何か』(NHKブックス)によると、胎蔵界曼荼羅で上が東になっているのは、インド人が東を尊ぶので、礼拝者から見て本尊を東に配したためだそうです。また、金剛界曼荼羅が逆になっているのは、密教者が瞑想して自分自身が曼荼羅の中に入ろうとしたため、つまり礼拝される側へと逆転したので、曼荼羅の方位も逆転したためとされています。

とくにこの金剛界曼荼羅については、曼荼羅研究の最高権威にして、「マンダラボーイ」として敬愛されて散る田中公明さんの説だそうですから、とても僕などに異を唱えられるものではありません。しかし上に述べた私見も、マンダラ、いや、マンザラではないと密かに思っているのですが……。少なくとも、「虎吉社長」にこのバージョンアップ版曼荼羅私論を諄々と説いたところ、僕の方を見ながらじっと聞いていたのですから!?

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...