少なくとも僕には、単なる異国趣味もやがて偉大な文学を生む起因と原動力になることを、北原白秋がみずから語っているように思われたのでした。この偉大な文学の水底にも、やはり単なる異国趣味がたゆとうていました。『邪宗門』こそ偉大な異国趣味の詩集であったのですが、大変失礼ながら、そこに西欧文明の本質的理解があるとはどうしても思えませんでした。
それは白秋子供時代の異国趣味とほとんど同じような趣味でした。だからこそ『邪宗門』は素晴らしく、日本人の心を打った、そしていまも打つのではないでしょうか。この点で、白秋における異国趣味も、ジャポニスムにおける異国趣味と軌を一にしているのではないでしょうか。
もしも「ジャポニスムの起因と原動力」の続編を書く機会があったら、必ず『思ひ出』の「わが生ひたち」から引用することでしょう。拙論は多くのジャポニザンに対する感謝の言葉で〆ましたが、さらにこれを加えれば、もうチョッとおもしろくなったかな(笑)
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