2024年10月12日土曜日

東京都美術館「田中一村展」13

 

 もう一人、田中一村のすばらしさを、いや、すごさを私たちに教えてくれた恩人を忘れるところでした。NHK出版の大矢鞆音ともねさんです。その大矢さんに『田中一村 豊饒の奄美』(NHK出版 2004年)というモノグラフがあります。その最後は「作品の中に深いかなしみと、自身が信ずる情念とが込められて……。」という一行で終っていますが、そのかなしみと微光感覚を安易に結びつけたりしたら、大矢さんに怒られるでしょうか。

小林忠さんが巻頭エッセーを寄せる『NHK日曜美術館<黒潮の画譜>田中一村作品集』(日本放送協会 1985年)の巻末に、「田中一村の俳句」が載っています。微光感覚こそ奄美一村最大の美的特質だと信じる僕が選ぶベストワンは、何といってもつぎの一句ですね。

緋桜に雷轟きあられ降る

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」5

   桜と相性がよい文学は和歌でしょうが、漢詩だって負けてはいません。先に紹介した渡部英喜さんの『漢詩花ごよみ』に江戸末期に鳴った漢詩人・藤井竹外の七言絶句「芳野」が載っています。またまたマイ戯訳で紹介することにしましょう。   古き陵 みささぎ ――松柏 まつかしわ  つむ...